会長挨拶

会長挨拶記述

商品開発・管理学会 第10期会長挨拶
                                                  長沢伸也 Shin’ya Nagasawa
                                        (早稲田大学大学院経営管理研究科教授)

 

 この度の役員選挙により商品開発・管理学会の第10期会長を仰せつかりました。これからの2年間、本学会の発展と円滑な運営を図って行きたいと考えております。本学会員の皆様のご支援とご協力を宜しくお願い申し上げます。
 さて、いわゆるヒット商品では、「ヒットしたのは商品が消費者の感性に合ったから」と解説されることが多いようですが、このような後付けではなく「消費者の感性に訴えるように商品を作り込む」ことを目指すべきです。また、「思いがけずヒットした」というメーカーのコメントもよく聞かれますが、これでは「何故ヒットしたか分からない」「次にヒットさせようとしてもヒットするかどうか分からない」と言っているに等しいのではないでしょうか。やはり、マグレ当たりではなく、「ヒットする要素を商品に作り込んで、ヒットするべくヒットさせる」ことを意図してマネジメント(管理)する必要があります。
 一方、日本でつくると高くなるので、日本企業は工場を中国の沿岸部に移転し、人件費が上がると内陸奥地にシフトして、そこでまたコストが上がると今度はタイ、ベトナム、ミャンマーと目を向けます。アフリカまで行ったらもうその先はないのに、いったい何時まで何処まで流浪し続けるのでしょうか。価値づくりから背を向け、コストダウンの消耗戦から抜け出せないでいると、ブランドも企業も疲弊して、せっかくの価値も目減りします。やはり「日本で作ると高くなる」のであれば、日本らしさを生かして日本でつくっても「高くても売れる」「高くても熱烈なファンを生む」商品やブランドを目指する商品開発・ブランド戦略しかありません。もちろん、この実践も理論化も容易ではありません。
 したがって、われわれ商品開発・管理学会の果たす役割と責任は益々重く、本学会の量的・質的拡大と深化を通じて新たな日本の強さを是非生み出していきたいと考えております。皆様のご賛同とご参画を期待しております。